PS4 人喰いの大鷲トリコ!ストーリーのネタバレ完全版

人喰いの大鷲トリコは、発売が発表されてからずっと期待していたゲームなんですが、いざプレイできるとなると


期待値が高すぎるせいで逆に触れない


という謎の現象にみまわれ

それは「期待はずれだったらどうしよう」という不安であり、あるいは「このワクワク感を成就させなければ、むしろ一生楽しむことができるんじゃない?」という手前勝手でもあり

「つべこべ言わずにやりやがれ」と言われれば反論の余地もないわけですが、それではいけないと思い

今月に入っていよいよダウンロード購入、プレイしてみた感想は




もっと早くやっとけばよかった




やっぱそうなる

超面白かったです

トリコはプレイしている最中、設定や背景が謎ばかりで、しかもそれが明らかになるのがほぼラストシーンという孤高の作品でした。

その独特の臨場感こそが、トリコというゲームを性格づけているポイントだと思いますし

そういう「わびさび」を楽しむことができれば、さらに作品に夢中になれるなと思い

せっかくなのでプレイ直後に感じた感動と、ストーリーの謎について忘れないうちに書き残しておきたいと思います。



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人食いの大鷲トリコはどんなゲームなのか

まず、ストーリーの前に「人喰いの大鷲トリコ」がどんなゲームかというと

主人公の少年が、トリコという巨大なオオワシ(ほぼ犬)に乗ったり、声で誘導したりしながら、謎の古代遺跡のギミックを動かしながら先に進んでいくというもので

普通にジャンルで分けようとすると


謎解きパズル要素のあるサバイバルアクション


といった感じなんですが

ちょっとプレイするとそうじゃないと分かります。

正しくは



民話ファンタジーRPG



とでもいった雰囲気で、確かにスリルもあり、アクションもあり、何回も行き詰ってしまうほどアクションも難しいんですが

それより何より、東洋っぽい服を着ているたった一人の少年、どこまでも広大な古代遺跡、無言で襲いかかってくる謎の鎧、吹き抜ける風で逆立つ大鷲の毛、飛び立つ蝶、そういう一つひとつの神秘的な要素が

トリコを「謎解きアクション」などとは呼ばせない迫力を持っています。
主人公の少年は、トリコに乗ったり、飛んだり落ちたりを繰り返しながら、目的地もわからずにただ黙々と進むんですが

トリコとの絆を深めながら、だんだんと明らかになってくる大鷲と城の謎に触れ、決断を迫られるというものになっています。

ゲームの醍醐味は、「少年とトリコ」の対比、コミュニケーションで、作り込まれた雰囲気からは、トリコの大きさや息使い、においといった猛々しい生命力が伝わってきますし

苔むした遺跡に吹く風には、飛んでいるたんぽぽの種が見えるようです。



まだ未プレイの人にはぜひトリコの世界を感じて欲しい

おすすめです




人喰いの大鷲とは何なのか

ゲームの謎について色々メモしておきます

ゲームを進めると、大鷲がいっぱい出てくる衝撃のラストシーンがあるんですが、そこで大鷲が口からベロッと人間のようなものを吐き出すんですね

つまり、人喰いの大鷲とは、ラスボスである黒い球体に命令され、人間をさらってくる兵隊であり

物語の途中に主人公の少年を追っかけ回す「鎧」の仲間とも言えます



人間から見ると、空から飛んできて子供をさらう大鷲は、主体的であれ命令されていたのであれ「人喰いのモンスター」以外のなにものでもなく

物語の舞台である遺跡の規模を見ても

以前は、今よりもはるかに多くの大鷲が世界の空を覆っていて、かなり長い間、人間にとって恐怖の対象となっていたものと思われます。



ラストダンジョンである白い塔の一番上、大鷲が、鳥のヒナをモチーフにした挿入口に人間を吐き出すと、ご褒美でエサの入った樽が飛んでくるという仕組みになっていて、大鷲自身は人間を食べないですが

ヒナの口に入れられた人間がどうなるのかは謎。

おそらく、白い塔は、遺跡の中で唯一大がかりな仕掛けが現役で稼働している施設なので、人間をエネルギー源にしていて

白い塔に存在していた「鎧」の数がケタ違いなことを考えると、人間をもとに「鎧」がつくられているんじゃないでしょうか




なぜ大鷲の目は発光し、尻尾からいかずちを放つのか

初めてトリコの目がチカチカ光っているのを見た時は「ロボなの?」と思いましたが

槍を投げられて血が出たり、しなやかにジャンプする姿を間近に見ていると、どう見ても動物です

じゃあ、純粋に自然界に存在した動物なのかというとそうでもなく

黒い球体か、その文明の技術で生み出された、架空の動物だと思います。



大鷲や鎧には2本の青いツノが生えていて、黒い球体が発する電波や、途中に出てきたオリのような装置から発せられる電波を浴びると、トリコのツノが光っているという描写があります

頭に生えているツノで命令を受信することで目が光り

黒い球体文明が持っていた兵器「いかずち」で攻撃する

そういう役割を持った、いわば生物兵器なんです。



発想は、ファンタジーなんかでおなじみ「グリフォン」にインスパイアされた動物であり

でも、鎧と違い、動物的な本能が残っていて制御が難しいため

城のいたる所に大鷲が嫌いな「目」を設置し、行ける場所が制限されています。




トリコはなぜ少年の命令に従うのか

トリコが村に乱入して少年を飲み込み、その後、城に向かって飛んでいる最中

雷に撃たれるシーンがあります


落下後のトリコはツノが折れ、黒い球体の支配が及ばなくなりました


その後、鎧に運ばれ、ツノが再生するまで地下牢に繋がれる予定でしたが

偶然、少年が意識を取り戻し

興味本位でトリコの鎖を外し、エサを運んできたせいで

トリコにはじめて自我が芽生えることになります



屈強な肉体を持つ怪物トリコですが、この時点での精神年齢は赤ん坊そのもの

鳥のヒナは、初めて見た動くものを親だと思う「刷り込み」という本能が先天的に備わっていて、トリコも動き回る少年を親だと思い、無条件について来るようになりました

ゲーム中、徐々に絆を深めていくと、少年の指示を細かく理解して動けるようにすらなります



ラストシーン、少年を村まで運んだトリコですが、炎を持った村人に囲まれてしまい、そういう混乱の中でも、少年が力なく呼びかけるだけで、すぐに命令を理解し村から飛び立っていきます。

親のように頼りにしてきた少年から突然、別れを告げられたトリコの気持ちを思えば切ないですが

迷いなく飛びだった背中と、わずかな期間で羽まで再生するという奇跡的な成長ぶりを見るに

きっと、トリコも精神的に成熟し、親を必要としない巣立ちの時を迎えていたんじゃないかなと思います。




ラストシーンの大鷲はなぜ2頭いるのか

少年が黒い球体を破壊すると、トリコと戦っていた大鷲たちは一斉に「何をしていいか分からない」といった表情を浮かべ、飛んでいた大鷲たちは落下します。



はじめて黒い球体の支配から脱した大鷲たちは

少年と一緒に、徐々に生きることを学んだトリコとは違い

急に世の中に放り出されてしまいました。



どうやって歩いたら良いのかすら分からない無垢の大鷲たちは、なすすべもなく奈落の底へと落下していきます

このゲーム、少年に別れを告げられるトリコのシーンも切ないですが

一番悲しいのは大鷲たちが死んでいくこのシーンですよね



エンドロール後の「おわり」直前、暗闇の中で大鷲が2頭見えるんですが、一体はトリコで、もう一体は作中でトリコと激戦を繰り広げたあの大鷲だと思われます。

塔の戦いで、敵の大鷲にトロッコを落とすシーンがあり

その時、大鷲のツノが折れてしまうんですね



トリコと同じく自我を獲得した大鷲は、その後、目的もなく谷の底でひっそりと生きていて

村から傷だらけで帰ってきたトリコと再会することができました。

初めて同じ種族の仲間とじゃれ合うことができた時の、トリコの喜びようを想像すると嬉しくなってしまいますが

少年に「もう長くない」と判断されたトリコが、その後、数十年も生き続けているのは、肉体的な力のほかに、そういう心の力で生命力を取り戻せたせいかもしれません


【追記】トリコの子供説
最後の大鷲は、トリコと、トリコの子供なのではないかというコメントをいただき、確かに冷静に考えてみると、冒険があった日から数年~数十年後のシーンだし、ストーリーをあまり描かないこのゲームには、そういう未来志向の、メッセージ性の強い終わり方がふさわしいな思います。

何より、私自身、それ好きだなと直感的に思いました。トリコには幸せになってほしいですね!




黒い球体とは何なのか

白い塔の一番上、少年が「谷を支配している」と感じた黒い球体

そして、その中にある光る核のようなものが今回のラスボスです

だいたいの疑問は「黒い球体は何なのか?」という所に凝縮されていますが

作中では全く語られないというプレイヤーまかせ!!



なので、完全に妄想するしかないですが、私が思うに



黒い球体は古代文明が遺した何か凄いもの



です。

少年たちが住む村のシーンを見る限り、トリコの世界観は科学の発達している世界ではなく、中世のアジアを思わせるような、厳しい自然と共存して、信仰に支えられている文明なんですね

そんな世界観といかにも不釣り合いなのが、トリコと少年が脱出を試みる「城の遺跡」で

フジツボのような凄い地形の中にそびえたち、人力で完成させることなど想像もできない、数百メートルはあろうかという超巨大建造物の数々
「黒い球体」は少年の住む世界とは違う文明・概念の産物というのは明らかで

もともと、鎧も、大鷲も人間を捕獲する対象と見ているので、どこまも人間に厳しい場所だなと考えると

古代人でも、未来人でもなく、人間とは最もかけ離れた存在、宇宙人説もしっくりきます。




黒い球体の目的は何なのか

黒い球体が古代文明がのこした凄いアレだとしたら

その目的は現在遂行されている人をさらってきて鎧をつくり、城を維持すること
になりますが、なんのためにそれを行っているのか


例えば、この岩山は巨大なクレーターの跡地で、はるか昔に隕石の落下とともにやてきた黒い球体が持っていた宇宙的なパワーを使って文明が発達するも、力を制御しきれなくなり滅んだ

とか

球体は実は善意ある存在で、人間を取り込むことで精神的な存在へと昇華させる存在であり、古代文明の人間はみんな肉体を捨てて不老不死の世界へ旅立った

とかもう何でもあり



トリコというゲームは、そんなみんなの想像力を最大限に引き出せるよう、スリルあふれるアクション体験を「少年」「いかずち」「遺跡」といったキーワードで、わざとあいまいにパッケージしたゲームなので

あなたが「こう感じた!」と思うストーリーこそが正解です



ゲームをやってる最中は、同じようなアクションの繰り返しが多くて飽きることもありますが、製作者の狙い通り、多くを語らないストーリーが、逆に目を引いてしまう舞台装置として働いていて、いつまでも人の心に残り続けるんじゃないでしょうか。



同監督が開発した同じコンセプトの「ICO」というゲームがあったんですが

最後にプレイしたのは10年以上前なのに

未だに主人公の少年が、一緒にいた「ヨルダ」という少女を呼ぶ時に発する謎の言葉



「ぽっぽっ」



を今でも鮮明に思い出せます

恐らく10年後、トリコというゲームがあったなあと思い出す時

どんなストーリーかは出てこないと思いますが、そういえばあの少年


とぅーりこーーっ!



って叫んでたなあと思い出すに違いありません。




黒い球体と鎧が飛ばしてくる文字のようなものは何か

鎧は文字のような「呪文」を飛ばしてくるわけですが

実は最後まで行くと黒い球体も飛ばしてくるので

そちらが本家本元だということが分かります。

というかトリコの胃の中でも同じ現象が起こっていると思われます。



つまり、これは「攻撃」ではなく、「消化」のような現象で

あの呪文を浴び続けると、人の形を失い、大鷲からべろっと吐き出された人間よろしく、お城のエネルギー源?になってしまいまうということですね

消化を助けるという意味でビオフェルミンみたいなもんです



映画「マトリックス」では、緑の文字列で「仮想現実のほころび」的なものを表現していましたが

トリコの世界でも、消化攻撃を受けることが直接「死ぬ」ことを意味しないよう、解釈に幅を持たせる意味で、ああいう表現になっているのだと思います。




その他の疑問いろいろ


・鎧とは何なのか

黒い球体の代わりに人間を追っかけ回すトリコの仲間です。

連れてこられた人間が鎧になっている説が面白そうですが、中が空洞なので本当にただの操り人形だと思われます。

電波の命令を聞かないトリコを異物とみなし、ヤリまで投げてきます




・鏡とは何なのか

初めて少年が鏡を持った時、トリコの目がチカチカ光って、その後いかずちが使えるようになったシーンがあります

「鏡」とは、トリコの能力を引き出すためのカギのようなもので

チカチカの認証行為をすれば、全ての大鷲に「鏡」が使えるものと思われます



あとは最後の方でエレベーターを起動させたり

回転する円盤を止めたりと、もう何でもアリの状態だったので


「黒い球体の文明」由来の、唯一のモノ


ぐらいが正解じゃないでしょうか

日本人にはおなじみ、地獄にいる閻魔様は、裁判で亡者に対し「浄玻璃の鏡」という真実を映し出す鏡を使います。

鏡で球体に照らすと丸裸になってしまうのは、そういう鏡の神秘性を表しているんだと思います。




・なぜ村の子供たちは集まって寝ていたのか
大鷲が何体もいたことを考えると、大鷲は頻繁に空を飛びまわり、体格の小さい、捕まえやすい子供を中心にさらっていたものと思われます。

村では子供を守るため、村の力を結集し

大鷲が入れない頑丈な建物をつくり、子供がさらわれないように夜は集団で過ごしていたんじゃないでしょうか

それはいわばシェルターのようなもの

トリコが主人公の少年を飲み込んだ後、首が引っ掛かってしまったのは、予想以上に強い建物だったせいで、また、夜中にもかかわらず、あっという間に武装した村人たちに囲まれたのも、襲来を警戒されていたからです。




・トリコという言葉の由来はなにか

トリコの名前の由来は「虜」から来ていると思われます。

虜は、辞書によると
1 生け捕りにした敵。捕虜。
2 あることに心を奪われること。また、そのような人。「アニメのヒーローが子供を―にする」
出典:デジタル大辞泉(小学館)


で、ゲームのトリコは、人間を虜にする存在です。




・トリコはなぜ「目」が嫌いなのか


防鳥用 OH目玉くん
大目玉とホログラム乱反射で害鳥を威嚇。
ホログラムの光が四方八方へ反射し害鳥を威嚇します。
3本の赤銀テープでキラキラ威嚇効果アップ。
引用:モノタロウ





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2 件のコメント :

  1. 1回クリアしただけですが、ラストシーンで洞窟にいた二頭はトリコとトリコの子供じゃないかなぁと私は思いました。ラストで洗脳されていた大鷲のほとんどは息絶えますが、唯一生き残ったトリコと作中主人公を襲っていた大鷲が、オスとメスであり、子供ができたと…。洞窟で見える目の大きさも、大人と子供という感じに見えました。
    ラストが「主人公と子供達(主人公の実子ではないにしても)」で終わっていたので、トリコにも子供がいる事で、主人公との運命的な繋がりを感じさせる…みたいな。

    上記はすべて私の想像ですが(^^;

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  2. コメントありがとうございます
    なるほどトリコの子供というのは説得力がありますね
    トリコの性別を考えたことがなかったですが、少年と分かれて何年も後の話で、しかもストーリーよりもテーマ性が重視されてるゲームだと考えると、とても未来志向でしっくりとくる終わり方だと思います・・
    うん考えれば考えるほどそうですね!

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